整備でネジの頭をネジ切ったときの対処2
ネジの軸が引っ込んで折れてしまった場合
この場合の対処方法
ネジ切った場所、状態にによって大きく2つの方法に分かれる
1.ネジの軸の頭が少しでも出ている場合
このケースは、こちらを見てください
>整備でボルトの頭をネジ切った1
2.このように ネジの軸の頭が引っ込んで折れた場合
ネジを締めすぎて(特に六角ボルト)はボックスレンチで締めすぎてネジ切ってしまうことはあります。
(誰でも一度は通る道なので、対処方法も知っておくと慌てないですむ
また、突然やってしまうので、その後も作業に進めるように対処する工具も常備しておくとよい)
ネジ山がつぶれて回せない場合
つぶれたネジ山を回す方法はこちら
2.このように ネジの芯の頭が引っ込んで折れた場合
少しでも頭が出て折れてくれていたら、、強引にネジザウルスで回せる可能性があります。
>整備でボルトの頭をネジ切った1
引っ込んでつかみしろがなかったら、大変にはなるが、対処は冷静にすればできるのでアセらずに。
最初は
「うわっ 地獄!」 のケースだけど、慣れると、そうでもないですから。慌てないことが一番。
誰もが1度は通る道、慌てず、根気よく対処できるようになれば、トラブルへの腕も自身もついてきます。
エキストラクター
このような場合は、主にエキストラクター という専用工具を使います。
逆ネジになったドリルネジです。(詳しくは下記)
最初に、折れたネジの中央ににドリルで下穴をあけ、
左周りにねじ込んで行くと刺さりながら入っていくので、先が入ったら、左周りに回せば折れ込んだネジも一緒に回されて抜けていくという、理にかなった工具です。
1.細い穴を折れ込んだネジの中心に開ける。
2.その穴にエキストラクターを左回しにねじ込んで行く
3.左に回していると、ネジの芯も左に回り抜けてくる
この原理を読めば、簡単にできそうですが、実際はそううまくいかない・・
まず、下穴を開ける必要がある。
しかしネジは堅い素材で出来ているので、ドリルで穴を開けることさえ難しい、普通のドリル ホームセンターのセット売りのようなドリルではなかなか刃が立たないです。
ドリルで穴あけ
- できれば中心にセンターポンチを打って、中心にくぼみを付ける
いきなりドリルを使うと、中心が定まらずにズレやすい
- ドリルの頭をたたいて、ポンチ代わりは×
- それからドリルで穴あけ
ドリルは新品に近い、切れ味の良いドリル刃を使いたい。
切れ味の良い、超鋼ドリルのような堅い素材の向けのドリルを使うとよい。(超鋼は折れやすいので使用時に注意)
*ネジ穴のゴミを掃除して取り除き、ドリルで中に穴を開けようとしているうちに、細いネジなら折れ込んだネジが回ることもよくある!
いったん回れば 下の 専用工具ナシで根気よくやる方法 のようになんとか引っ掛かりをつけて回せれば取り出せることも多い
下穴が開いたら、エキストラクターを左周りにねじ込もうとしてる内に食いついて徐々にネジも左に回ってきます。そのうち頭が出てくる。
エキストラクター使用方法
エキストラクターは おしりがタップと同じ四角□、タップホルダーで固定して回します。
タップホルダーで固定
おしりの四角をタップホルダーではさんで固定
折れやすい工具なので慎重さが大切
頭が出てつかみしろができたら、ラジオペンチ等、ネジザウルス等でつかんで回せば何とか抜ける。
*コツは 事前に
太いネジや回すのが固そうなネジは、オイルスプレーを十分吹きかけ、しばらく置いて浸透させる。
焦らずに、2,3日かけるぐらいのつもりで。少しずつでも進める余裕の気持ちも大切。
またポンチなど差し込んで何度何度もパッドして振動を与える、ネジ穴のゴミを少しでも多く取る、
など、少しでも抵抗なく回すためにできることは何でもしておく。
専用工具ナシで根気よくやる方法
折れたネジに穴を開けるだけで大変です。
エキストラクターを使わなくても、細めのネジで固着がないなら根気よくやれば、案外、はずれることがあります。頭が飛んだネジは、中で抑えがなくてフリー状態。
まず、オイルスプレーをたっぷり吹きかけて浸透させる(焦らずに、浸透するまで1,2時間ぐらい待つ)
そしてポンチや貫通式ドライバーなどを差しこんで折れ込んだボルトの頭をコツコツと何度も軽く叩く。(これで緩みやすくなる 軽く、根気よく何度も何度も。下準備は十分にする)
焦らないことが大切です! パニック状態になっているので傷口を広げることもあるため
上のエキストラクターを使う方法でも、ドリルで中心に穴を開けている最中に、折れ込んだネジが回ることがある。振動を与えて、中で回るなら引っ掛かりを作れば、案外回せることもある。
ラジオペンチ等の先細を差し込んで強く押しつけながら、左に回す(もちろんこれですぐにはまわらない)
または、先の細いマイナスドライバーを斜めにでこぼこに当てて、ドライバーの頭をコツコツと折れたねじが緩む方向にたたく。
叩くのではなく、回そうと適度な力で。
根気よくやれば、少しずつでも折れたネジは回転する。
折れ込んだボルトの頭はまっすぐでなく、デコボコの荒面なのでどこかひっかかりがあるとすこしずつは回る
(またはねじ穴に入るチゼル(タガネ)で 以前の方法のようにマイナスドライバーが引っかかる線を入れる)
いったん少しでも回ると、あとは回りそうなコツがつかめます。
これを繰り返すと少しずつ回して行くと、頭が出ることもあります。(あせらず、根気よく)
頭が少しでもでたら、>整備でボルトの頭をネジ切った1 方法
参考に、必要なツール
こういう工具は折れやすいので慎重に作業
エキストラクター
これはすごく格安のセットですが使えます。めったに使わないしボルトに固着がない小径なら、最低限のものでもよいと思います。(誰もこれを使うハメになりたくはないのが本音でしょうね)
逆タップセット 5ピース STRAIGHT/19-3248 (STRAIGHT/ストレート) |
これは格安品ですが、普通の細い軽く回る折れボルトには使えましたが、応急的な品質。
固着があったり、回りにくい場合や細いネジでは、噛合が悪いです。
(ネジの補修作業で壊れると問題がかなり複雑になります。安物タップを使ってが折れ込んだりしたらもう対処がない)
硬い部分と対決するにはもう少し品質の良い物にしたほうがよいです。
センターポンチ
先端が丈夫な、ドリルの前にくぼみを付ける専用工具。
ドリルでいきなりでは中心がずれやすいので、その前に中心にポンチでくぼみを付けます
エキストラクターとドリルの一式セット
エキストラクターとハンドルと下穴ドリル、必要なものがそろった小径用のセット。
スレッドマスター折れ込みボルト抜きとHSS下穴ドリル ボルト5mm~11mm用
電動ドライバ用
SK11(エスケー11) 六角軸 折れこみボルト抜き セット 6本組
らせんのネジ状でなく、たたいてエッジを噛みこませるタイプ
固着があるボルト用や、太いボルトなら先々に本格品を揃えておくなら専用のちゃんとしたものが欲しいところです。
専用品
タップホルダー
エキストラクターを使うには、タップホルダーが一緒に必要
(六角軸はインパクトドライバーなど)
ねじ切り用のタップホルダーが共通で使える
(これがないと回せない)
細いやつには小ぶりなT字 が作業しやすい
(上の最細エキストラクターにも適合サイズ)
T型 ラチェット タップレンチ M3-M10用 (タップホルダ/タップホルダー/タップハンドル)
タップホルダーは使いまわすので、しっかりしたメーカーTRUSCO 等を
平たいタップハンドルは、幅が大きくなる
TRUSCO タップハンドル10mm
太いエキストラクターは大きいホルダーが必要。
その分、大きな力で加減を調整して回せます。ただ長すぎると場所を取り、作業がしにくいです。
チゼル(タガネ)
どの場合でもあったらいいのが、先に取り上げたチゼル(タガネ)と、
小さなものを叩くときのポンチ
ブランド工具のSIGNET
SIGNET シグネット ピンポンチセット 60501
ドライバーを差し込んで叩くのはやめて、
こういう工具は、丈夫でちゃんとしたものを一式持つのが良いです。(一流工具は一生もの)
ネジザウルス
あとは最近の便利ツール ナめたねじ穴などを強引に回せる専用ペンチ=ネジザウルスです。
エンジニア ネジザウルスGT PZ-58
少しでも頭が出たら回すのに効果的な専用工具
ネジザウルス 頭が出たら(残っていたら) 強力につかんで回すのに効果を発揮します。
また、+ネジのミゾをなめてしまったネジも、頭を挟んで強引に回せます。
ネジザウルス 最近、はやっているようですが 縦にも横にも挟めるので1つ工具箱にあれば、いざというとき役に立つ。
こういう工具を使う状況にはなりたくないですが、いざというときパニックにならないためにもに、トラブルが起こる前に常にそろえて置きたい工具です。